かてもすの日記

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みいちゃんと山田さんについて

 

Twitter(現X)にて話題になっている漫画『みいちゃんと山田さん』をある程度読みました。

 

率直に、悪い意味で「一線を越えたな」と思いました。

 

ただこの漫画は良い部分悪い部分がハッキリしていて、興味深いという面で非常に斬新な漫画でした。

 

*あくまでフィクション作品に対しての素人の感想です。

 

 

★良い部分:理解が進む

 

 

↑筆者は以前に「境界知能という言葉を蔑称として使うことは良くない」と発してました。

 

この漫画は所謂境界知能・知的障碍者(と認められてないがそう暗示している)を取り巻く過酷な世界を描いたものです。

 

良い部分としては率直にそういう人々の受難や取り巻く環境の異常さが、漫画でわかりやすく理解できるという点です。

 

例えば何か悪いことを説明しても理解してくれないどころか、怒られているように解釈されてしまうという対人の難しさを上手に描いています。

 

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また作品の落としどころとして大変優秀なのは、【生む親が悪い】【ちゃんと育てない親が悪い】【無責任な親が悪い】【酷い大人が悪い】…と親や大人を悪者に描いている点です。

 

兄妹の近親相姦から生まれたみいちゃんですが、みいちゃんの親が全くマトモではないです。

 

まともな親から生まれていない=子供もまともに育つわけないという背景で、「そもそも親がしっかりしろよ」というツッコミどころの部分が強調されています。

 

これは現代社会の""親ガチャ""論とマッチしています。故に作品のインパクト以外でも内容で共感を集めているのだと思います。

 

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なんならまともぶっているみいちゃんの祖母も諸悪の根源で、この人がもっとちゃんとしていれば息子と娘の近親相姦を防げたのでこの家族は色々救いようがないです。

 

つまりみいちゃんの母親自身も被害者と考えることもできます。

 

またもう一人の主人公である山田さんも親が(愛情の裏返しで)厳しく、抑圧された山田さんは大学が順調に通えずキャバクラの道に走ってしまいます。

 

全体的に【親がちゃんとしないから子供が真っ当に育たない】というテーマが一貫しています。

 

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またみいちゃんと似たムウちゃんというキャラもいますが、こちらも多くの受難を受けつつもまだ親の倫理感はまだみい親よりマシです。

 

娘を悪の道に導いたみいちゃんを恨むムウちゃんの母親は(黒幕候補であり)、前科がついた娘を何とか良い方向に矯正しようと支えています。

 

それに対しみいちゃんの親はまともに子育てできないどころか、一人娘を家から追い出します。

 

みいムウ二方とも親が(一般的な感覚で)まともとは言い難いですが、まだムウ親の方が感覚が全然マシです。

 

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★悪い部分:題材に対しての軽さ

そんな感じで普段タブー視されるような題材で、それについて理解が進むという面では良い部分もあるんじゃないかと思います。

 

悪い部分は正直に書くと、題材があまりにグレーすぎるにも関わらず扱う慎重さが無いなと思いました。

 

障碍者や境界知能についての理解を広めたくて漫画を描いたなら素晴らしいですが、ネット広告の品のなさやみいちゃんのキャラが悪い意味で話題になるなど炎上商法感が否めないんですよね。

 

SNSで炎上する人に「こいつはみいちゃんだ!」みたいな人をバカにするような論調で作品が取り上げられることも色んな意味で不快感しかないです。

 

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そんなこと言ったって世の中の商売大体どんな仕事にもマイナスな面はありますが、今回のは漫画の題材として一線を越えたなと感じました。

 

金稼ぎの為にこういう題材使うってどうなの?と正直思いましたね。

 

何となく触れない方がいいものを、誰も言わないからと発信するのって本当にそれでいいのかよと思います。

 

文字通りなんでもかんでも可視化されるSNS中心の時代の象徴なのかもしれません。

 

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ただそんなこと言ったら、例えば「じゃあ戦争が悪だから戦争漫画は全部題材としてアカンのか?」ともなりかねません。

 

そもそもフィクション作品に対して現実の倫理観を当てはめること自体がズレているのかもしれません。

 

まぁ筆者がズレているのは間違いないです。だから宣伝もしない個人ブログに書いてます。こういう考えはSNSで公開すべきでないので。

 

あくまでフィクションであるという前提で漫画という娯楽に興味を持って読んだわけですが、あまりに内容が現実世界でグレーなことだともっと慎重に扱うべきだと思いました。

 

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あとこういう漫画って他にあるかなと考えたときに、わりとクレヨンしんちゃんが近いのかなとも思いました。

 

筆者が子供の頃クレヨンしんちゃんは教育に悪いから、親が子供に見せたくない番組上位で実際あんま見るなみたいな空気がありました。

 

しんちゃんが知的障碍者だから見るなみたいな意味合いではなかったと思うのですが、大人になった今何となく当時見るなと言っていた人たちの気持ちも分からなくないです。

 

ただそういうのが行き過ぎると子供向け作品からタバコを消せとか、巨乳や谷間の描写をなくせとかになるんですよね。難しいです…

 

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★山田さんは自己投影?

インパクトのあるみいちゃんばかり目が行きがちな漫画ですが、もう一人の主人公である山田さん(レイチェル・ガードナー)も中々に苦労して生きています。

 

ウンチクを語るときだけ急に長文の説明になったり、理想だけは一人前に語るくせに何もできない果たしていない人間であるなどよくいる子供な普通の大学生です。

 

山田さんが可哀想なみいちゃんに肩入れするのは、山田さんの優しさです。

 

母親に抑圧されて苦労した山田さんだからこそ、同じように親に虐げられたみいちゃんを見捨てられないのでしょう。

 

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個人的に素敵だなと思ったのは、2人でテーマパークに遊びに行くシーンです。

 

山田さんはずっとディズニーランドでカチューシャを付けることに憧れていて、果たせなかった青春を遅れて経験出来て喜んでいました。

 

こういう人助けして幸せがやってくるってとても素晴らしいと思います。

 

母親に色々打ち明ける際も友達のみいちゃんがいてくれたから心強かったなど、山田さんは明確にみいちゃんと関わって良かったとなっています。

 

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明確にそう書かれてはいないものの、急に漫画家になりたいと言い出したり山田さんは作者の自己投影なのだと筆者は考えます。

 

どこからどこまでが事実を基にしているのか定かではありませんしそもそも推測ですが、そういう過去の経験を前向きに活かせるのはすごいことだと思います。

 

大学生時代なんて皆子供ですし、山田さんもみいちゃんも子供です。

 

親と上手くいかない子供の物語としての描かれ方が上手で、漫画が上手い作者さんだと思いました。

 

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★記事執筆にあたって

この作品が話題になって気になって読んだわけで、フィクション作品に倫理感がどうこういうのが行き過ぎるとフェミニストみたいになってしまいます。

 

なんなら話題になったから読んだわけですし。話題になってなかったら視界に入ってなかったわけです。

 

それなのに否定的な事ばかり言うのって何様なの?ってなります。

 

筆者は大体の物事に良い部分と悪い部分があると思っていて、この作品も良さが沢山ある漫画でした。

 

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先に過去記事のリンクを張りましたが、境界知能とか障碍者とかガイジとかそういう言葉は否定の意味合いで使ってはいけません。

 

そこに対しての意識が甘くなることは、例え匿名のネット社会でも絶対にいけないことだと思います。

 

作者に対してあれこれ色々思うというより、みいちゃんが蔑称として使われる社会に嫌悪感があるというのが正しいかもしれません。

 

明日カノとかもそうですがただただ王道な展開というより、こういう社会学的なものが登場してきたのは近年のトレンドなのかもしれません。

 

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