現役ドラフトで横浜→中日へ移籍して完全覚醒した細川成也選手。
移籍して和田一浩コーチとそっくりな打ち方になって覚醒した……と言われていますが、じゃあ何故中日では他にホームラン打てる打者が皆無なのか?
細川が覚醒した理由は簡単です、
固定したからです。
ただただ辛抱強く使い続けたからです。
★数試合で結果を出すのは無理
この件は細川を、調子が悪い時も我慢強く起用し続けた中日が有能と言えます。
第1回現役ドラフトは半数が戦力外になりました。
指名順が遅く他球団からは期待されていなかった細川を、使い続ける判断をした中日がすごいと思います。
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細川 成也(中日ドラゴンズ) | 個人年度別成績 | NPB.jp 日本野球機構
細川は高卒1年目シーズン終盤に2試合で2HR打った非凡な才能がありました。その後ポストシーズンでも起用されるなど非常に期待されていました。
(高卒1年目は金属バット→木製バットの変更に苦しむ人が一定数いて、プロの球相手に外野に飛ばすことすら困難な人が多いようです。)
ただ監督がラミレス→三浦に変わったこともあり出場機会が減少、結果2021~2022年では1軍打席たったの64打席しかチャンスを貰えませんでした。
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代打やスタメン数試合だけで結果を残せ!は無理です。
一軍と二軍の投手の球や緊張感は全然違います。
すぐに結果を出さないとマズいのが誰だってプレッシャーになります。2軍戦のガラガラ球場と甲子園球場の超満員の差では誰だって怯みます。いくらプロ野球選手とはいえ20代で全く緊張しない人なんていないでしょ。
それに初起用から早い段階で結果を出し続ける若手なんてごく稀です。
筆者が見てきた中で起用始めからいきなりずーっとレギュラーになれたのは中野くらいです。阪神の遊撃手が北條植田木浪みんな燻ってる時に新人でチャンスをモノにしました。
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そもそも現役ドラフト→開幕までのたった4カ月弱で選手の技術が大きく変わるなんてありえません。
細川だって大竹だって特別何か変わったわけではなく、単に使い続けて結果を残しただけです。
元のチームでは色んな事情で出場機会に恵まれなかっただけで、その救済策である現役ドラフトの恩恵を最大限受けましたね。
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★贔屓起用は大正解
重要なのは、贔屓起用・愛人枠と言われても仕方ないからコイツを使いながら育てるんだという覚悟です。
最近だとヤクルト長岡ですね。
またデビュー年の広島野間もまさに愛人起用とボコボコに叩かれていましたが、その後ある程度頭角を現したのを見るに間違っていなかったと言えます。
ノイジーも死ぬほど文句言われて最後日本一決定ホームラン打ちました。
WBCでショートで呼ばれた中野をコンバートして何故木浪を使うんだと開幕前からめっちゃ叩かれて、結果2人ともタイトルを取りました。
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当然他の使ってもらえない選手は不満に思いモチベが落ちるかもしれないし、何故コイツを固定するの?という批判も絶対来ます。
でもその批判を受け止めるのが監督の本来の仕事です。
とりあえず出せる選手じゅんぐり試してみて競争ですなんて言ってても誰も育たないし無責任です。
そんなんでレギュラー格がポンポン埋まるんなら監督なんて仕事いらないです。誰がやっても一緒です。
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細川のいた横浜は代々圧倒的なレギュラーとそれ以外の差が激しいチームです。
現在では牧宮崎佐野東辺りがそう、それ以外は競争といいつつ満遍なく選手を起用しているだけです。
いつの年も濱口の制球が文句言われつつ、結局そんな濱口が毎年ローテにいる印象です。
誰かが好成績を一定期間残して初めてレギュラー……でいったいどれだけの選手が規定打席までたどり着けるのかです。満遍なく育てて満遍なく成長しても満遍なく中途半端になるだけです。
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なので結局ここは温厚な三浦監督のリーダーシップの無さだと思います。
優しすぎる。嫌われたくない。
度会上位打線で使ったり下位打線にいきなり回したりする一貫性のなさ。(なんなら2番にオースティン置いたり石上置いたりも意図が謎)
度会がOP戦や開幕直後のイケイケ時のように振れる打者に育つか、横浜晩年の細川のように当てにいく打者になるのか1つ注目です。
調子が落ちてきた時こそ踏ん張らせるべきです。野手のみならず先発投手も5回のピンチですぐ変えたらピンチを脱出する術が身につかないです、結果的に勝っても負けても中継ぎが消耗して使い潰される。
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★もう1人重なる選手
移籍前はほぼ無実績、そんな選手が移籍後覚醒は稀です。
普通無実績はすぐクビになるかそんなにチャンスが与えられません。
(逆に言えば実績とは大きな保証です。)
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細川覚醒で1人重なるのが大田泰示です。
彼も巨人のプレッシャーとすぐ二軍落とされる体制で巨人時代は本当にダメダメでした。いつも顔が引きつってるようでした。
そんな大田が戦力外同然のトレードで、広い札幌ドームで1年目いきなり15HR、移籍3年目で20HRと覚醒しました。栗山監督は大田のみならず過去レアードも長きにわたって我慢し開花させました。
この時も巨人が何故大田を出した、大田を育てられなかったんだと散々言われていました。細川の名前が出るたびに横浜が言われる今と全く一緒です。
奇しくもその大田は現在横浜在籍で、やはり固定してもらえていません。
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★ポテンシャルを見抜いて固定
ポテンシャルあるやつはダメな期間が長くても下位打線で固定すべきです。
その""ポテンシャルあるやつ""を見抜いて抜擢するのが監督のお仕事です。
FA外様だよりだった読売巨人が新人門脇をスタメン固定してびっくりしました。絶対に正解です。
でもじゃあなんで秋広と大城はダメなん?とも思いますが…
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筆者が忘れない出来事があります。
阪神中谷です。
2018年彼を干した件はもっと嘆かれていいです。
2017年どれだけ彼の一打で勝ったんだよってレベルでようやく生え抜きの大砲が覚醒し20HR、さらにセンター守備も無難に良かったです。
結果的にセンター埋めるために近本取って育ったからあんま言われないけど、彼か横田を今のレフトで見たかったと本当に思います。
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今の中日なんて長い間CS出れてないから色んな事を批判覚悟でやらないとダメだと思います。
無難なことばかりやってても負け癖がつくだけです。本気でAクラスを目指す野球をしなければ、厳しい場面で良いパフォーマンスを出せる力が付きません。
そんな中現役ドラフトの制度で最大限恩恵を受けたのが細川で、彼を固定して使い続けたのは褒められて良いと思います。
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*筆者は歴15年の阪神ファンです。
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