かてもすの日記

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ドラゴンクエスト ユア・ストーリー 視聴感想

 

 

こんにちは、かてもすです。

お越しいただきありがとうございます。

 

 

一昨日8/10に映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』(DRAGON QUEST Your Story)を観に行きました!感想を書いていきます。

(ネタバレ注意)

 

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8/2に公開されてからネタバレを見ずに視聴しました。視聴前から本作が賛否両論であることは知っておりました。

 

良かった点・賛否両論点・悪い点

に分けて書いていきます。

なお本文中の「原作」とは、ゲーム「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」を指します。

 

☆良かった点

 

・BGMが素晴らしかった
9割(最後の電子世界のとこ以外)は全てドラクエシリーズの曲でした。

 

ドラクエ5の曲以外にも覚えているだけでドラクエ2,3,4,6,7,9,11の曲が使われていました。これはドラクエファンからしたら非常に嬉しいです。しかも東京都交響楽団さんによるオーケストラ演奏音源だったので迫力がありました。


特に印象的だったのが、

ブオーンと決着つけたときの『敢然と立ち向かう』(元はDQ6ムドー戦の曲)、
ゲマと決着をつけたときに流れた『決戦の時』(DQ9エルギオス戦)

の2曲の選曲・起用はとても素晴らしかったです。ダイナミックな迫力が出ていました。

 

でも他の大事なところ、

例えばビアンカと結婚したくなった場面では『愛の旋律』だったり、パパスの日記を読んだ場面が『哀愁物語』であったりとここは絶対原作通りの曲が良いなという場面はそのままでした。

 

エンディング前に『この道わが旅』を流してエンディングクレジットで『そして伝説へ』を流すもはや恒例ながら原作ファンが大好きな2曲をしっかりと起用してくれたのも良かったです。

 

BGMに関しては要所要所でドラクエ好きが喜ぶ演出があってとても良かったと思います。

 

 

・オリジナルを交えたストーリー

映画がDQ5がベースの物語ということは見る前から知っていたのですが、原作そのまんま映画を作らなかったところは個人的に評価したいです。

 

というのももし映画が原作そのままであれば、原作を知っている人からすれば内容が同じの映画を見ても驚きがないからです。

 

制作陣がDQ5のそこそこ長いストーリーの内容を約100分に収めることにとても苦労したと思います。この映画はドラクエを全く知らない人も見ることを想定しているのでそこの改変はある程度頑張ったと思います(ただし後述するように矛盾もありました)。

 

 

・ゲマとの決戦(終盤の戦闘シーン)

いよいよクライマックスに近づくぞというシーンで主人公たちがゲマ達の軍団と戦いを繰り広げますが、そこの戦闘シーンがとても迫力がありかっこよかったです。

 

武器での攻撃と呪文での攻撃のどちらも見ごたえがありました。

 

 

☆賛否両論点

 

・クライマックスのオリジナル脚本

ラスト(ミルドラースを封印するところから)はこの映画で最も賛否両論だと思います。

 

筆者は個人的にここが悪すぎるわけではないと思います。

なぜならミルドラースは原作でも空気だったからです。最初から一貫してゲマが宿敵として演出されていたのに、ぽっと出のミルドラースがラスボスに出てくる展開は原作でも微妙です。

だから思いきってゲマを倒してミルドラースを封印(=直接戦わない)という原作改変脚本自体は良いと思います。


そして「実はゲームの中の世界でした」みたいなオチは映画ならではの演出なのでこれも悪くないです。

現実があってゲームの世界もまたあるというメタ的な発言はあってもいいと思うのです。

しかしあまりにも演出が中途半端過ぎました。メタについて取り扱った時間が短すぎます。

 

今回の映画の主題として「現実世界とゲームの世界の違い」を示したかったのであればもう少し時間をかけて説明すべきだったと思います。

もっと具体的なエピソードやシーンを出しておいて「ゲームの世界も素晴らしい」「冒険は素晴らしい」「ドラクエは素晴らしい」的なメッセージを伝えきれば今より不評は少なかったと思います。

とりあえずラスボスであるミルドラース(モドキ?)をやっつけるためにそれまでの世界観をぶち壊しウィルスがどうたら言ってついてきたスライムがロトのつるぎを創生してトドメ…という演出はあまりにもひどすぎます。

 

世界観を壊してまでメタメッセージを伝えたかったのであればもっと丁寧にやってほしかったです。

一瞬過ぎたために蛇足感が強いです。

(一応プサンが機械キラーマシンについて話すときに「今回はそういう設定なんじゃ」みたいな発言をしたことが仮想世界であることの伏線でしたね。)

あと「大人になれ」発言は皮肉なのかな?

 

余談ですが上映直後に周りの観客の大半が最後え?え?みたいな反応をしてて面白かったです。

  

 

・その他の原作改変

リュカの娘やマリア、ビアンカ父、サンタローズ焼き討ち、グランバニア城などの原作にあった要素がカットされました。

 

他にもドラクエなのに魔物の種類があまり多く出てこないところも気になりました。本作はどちらかといえば人間サイドのドラマがメインだった感じはあるので、ドラクエのモンスターが好きな人からすれば物足りなさはあるかもしれません。


またドラクエ5の魅力の1つである敵を仲間にできる機能も、仲間にしたのがスライムとキラパン(とブオーン)だけという寂しさもあります。


しかしこれらは限られた時間しかない映画ならではの改変なので仕方なさもあります。

 

一方で「ビアンカは天空人の血を引いている(から誘拐された)」という原作では埋もれていた設定を映画に組み込んでくれたところは良かったです。

 

 

☆悪かった点

 

・「坊や お父さんを 大切にしてあげるんだよ」という発言がなかった

これは個人的にがっかりです。

なぜがっかりなのかを熱く語らせてもらいます。

 

ドラクエ5は他の作品より「愛」の要素が強いです。

主人公が大きく成長して結婚するという発売当時では非常に斬新なストーリーが実装されました。筆者は10以外のドラクエを全作やってますが、5は他のドラクエ作品よりもキャラクター個々人に愛着や感情が湧きやすかったです。

 

結婚相手を選べることもそうですが、本来敵である魔物を仲間にできるシステムもDQ5発祥です。ドラクエの敵はそれまでの作品で故郷を滅ぼしたり世界を破滅させようとする憎き存在でした。しかしそういった魔物の中でも全員が全員人間を嫌っているのではなく、仲間になりたいと思っている個体もいるのです。人間と魔物の絆が芽生え、双方が協力して旅をすることも愛だと思っています。

 

そういったDQ5では序盤でパパスが主人公を庇って惨殺されるという非常にショッキングな展開が起こります。主人公は少年時代を奴隷として過ごし、その間知人からは消息を絶たれて心配されていたことが後からわかります。こういう誰かが主人公のことを心配してくれていた/待ってくれていたというのも愛です。

 

本題に戻すと、今作の映画ではパパスが惨殺されたところまでが悪夢として表現されるところから物語が始まります。原作では主人公がほぼ話さないのに対して映画ではパパスが惨殺されるシーンで主人公が悲鳴を上げまくっています。状況を考えれば当たり前ですがそういうリアリティが映画にはありました。

 

主人公が父親の死を泣き叫ぶほど悲しんだのであれば、「お父さんを大切に」というセリフは絶対に入れるべきだったと思います。たった数秒のセリフなので入れることは難しくなかったはずです。

 

原作では幼少期に操作する主人公が、大人になった自分からオーブをすり替えられるシーンで上記のセリフを聞くことができます。

色々な改変があったので幼少期に言うのが難しかったのであれば、せめて主人公が大人になりオーブをすり替えに過去へ行く立場となった時にでも言ってほしかったです(一応パパスの姿を見て寂しがるような顔はします)。

 

愛という言葉を多用するとクサいですが、DQ5は「子供が大人になる成長の過程で辛いことがたくさんあるけど幸せも待っている」ということが比喩表現されているとても素晴らしい物語です。

 

愛について25年も前にゲームで実装したことがドラクエ5の大きな特徴であり、画期的な出来事だったと思います。

ビアンカフローラが人気投票の常に上位にいたり、今でもビアンカフローラ論争が起こるのはそれくらいゲームの中で恋愛ができることが画期的で惹かれた人が多いのだと考えられます。

  

父母が惨死して悲しむ主人公や息子がいたり、主人公の生存を知って涙を流す人がいたり、そういう人情がより丁寧に描かれたのがDQ5です。映画でこういう部分が少なかったのは寂しいです。

 

この発言をカットした(というか入れなかった)のはドラクエへの理解がないかなと思いました。

 
同様にキラーパンサーが仲間になるにあたってビアンカのリボンが必要という演出もカットされました。幼少期の描写が少なかったので致し方ない部分もありますが、原作で印象に残るシーンがカットされるのは残念です。

 

 

・明らかな矛盾
映画の冒頭で描かれますが、主人リュカの出産は原作通りグランバニア城(のゲーム画面)でした。

一方で息子アルスの出産はパパスと住んでたサンタローズの小屋でした。

映画内でグランバニア城が触れられないのは明らかに違和感があります。

 

原作をプレイしていない人は主人公が産まれたシーンはどこだったのかと疑問が残ります。

一緒に映画を見た人がDQ未プレイの人なのですがここが謎だったと言っていました。

 

嫌な言い方はしたくありませんが、この点を見逃すことは手抜きと捉えられても仕方ないでしょう。VRオチの際も序盤省略モード的なことが明確に描かれていましたが、都合よくまとめすぎています。

 

 

・ビアンカを好きになる要因となる描写が少ない

映画は面白かった部分もあるので擁護として何度も言わせていただきますが、伏線を原作通り丁寧に描くのは限られた上映時間の関係上難しかったと思います。なので多少の省略や改変はやむを得ないです。

しかしそれにしては説明不足が否めません。

 

ビアンカかフローラを選ぶという運命の決断があまりにもご都合主義で拍子抜けしました。幼少期のビアンカと冒険するシーンは数分でも良いので描くべきだったと思います。

 
それに加えて主人公がサラボナでフローラに会ったときの反応が、フローラに気があるような描写だったので、原作の設定(ビアンカが幼馴染)を知らない人は確実に困惑します。

 

結婚というDQ5の最大のイベントがあまりにも軽く描かれていて残念でした。

初見だとどうみてもフローラに気があるような中途半端なシーンを描くなら、いっそのことフローラと結婚するオチでもおもしろかったと思います。



・全体的に説明不足

先ほど例に挙げたビアンカについて以外にも、ドラゴンオーブや少年時代,出産直後に小屋が襲われた理由などは原作をやってない人は理解するのが難しいと思います。ドラクエを知らない同行人がそういっていたので間違いないです。

 

 

・成長の過程がない
戦闘シーンが少なかったです。リュカがどう強くなってるかが理解できませんでした。

青年になってサラボナ向かう途中に戦闘→ブオーン→ジャミゴンズ奇襲石化→最後の敵の本拠地→ゲマ

くらいしかまともな戦闘シーンがありませんでした(ただし戦闘描写自体は迫力があったと思います)。


まともに主人公が戦ってないのはドラクエが題材にしては物足りないです。

 

 

☆総評

 

ドラクエのファン向けドラクエ知らない層も含めた一般向けのどっちに向けて作ったのかがよくわからない、どっち付かずの作品だったと思います。

 

賛否両論点と悪かった点に挙げたものの大半は「入れたかったけど時間が無かった」ものだと思います。制作陣は原作をまとめるのに相当苦労したんだと思います。

 

例えば「ドラゴンオーブ入手→直後にマスタードラゴンが飛び立つ(=プサンの変身などは全部無し)」という駆け足の描写を見ればほんとに色々切り詰めたということが窺えます。

 

まとめ方に苦労をしたとは思うのですが、ドラクエをよくプレイしてる人が監督をやればもーちょい印象に残るシーンをよりよく表現できたかと思います。

 

逆に言えば、ドラクエとは鳥山さんすぎやまさん堀井さんの3人が揃って完成するものです。

今回は全員が揃って作ったわけではないので、映画製作班は悪くはありません。この出来は仕方ないと思います。

 

残念ながらこの映画を見て「ドラクエ楽しそう、だからやってみたい」という人はあまり出なさそうです(ドラクエの魅力の一つである敵と戦っての成長が描かれてないため)。


ドラクエに焦点を当てた映画ではなく、ドラクエ5のストーリーに焦点を当てた映画だったのでドラクエシリーズ自体の魅力が伝えられる映画を期待したかったです。

 

 

あまり批評チックにレビューを書きたくありませんでしたが、人間は不評という前評判があるとどうしても物事をネガティブに捉えがちです。公開初日に映画を観ていたらまた感想が違ったかもしれません。

 

 

長くなってしまいましたが、

お読みいただきありがとうございました。

 

 

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